あなたの暮らしに合った避難訓練のやり方で、いざという時の命を守る行動を体で覚えておきませんか?
地震・火災・水害など災害の種類はさまざまですが、どんな状況でも「迷わず行動できるかどうか」が安全性を左右するポイント。いつかやらなきゃと感じているままでは、とっさに動けず身を守れない場面が増えてしまうかもしれません。
ここでは、
「避難訓練のやり方は?」
「何をすれば効果的?」
と気になるあなたへ、避難訓練をするときに大事なこと5つと、効果を高めるシナリオ作りのコツをご紹介。避難所・夜間・車中泊・家族構成別に、事前準備とやり方をわかりやすくお伝えします。さらに、国内最大規模のアウトドアショップ「サンデーマウンテン」が、避難時に役立つ防災グッズをピックアップしました。
避難訓練を意味のあるものにするために「何を持って、どこへ、どう動くか」を自信を持って判断できるようになりましょう!
避難訓練って必要?

避難訓練とは安全に逃げるための事前練習
避難訓練は、いつどこで起きるか分からない地震・火災・水害などの災害を想定して「どこからどこへ」「どの順番で」「どうやって」逃げるかを体で覚えるための練習。防災訓練という言葉には消火訓練や通報訓練も含まれますが、その中でも「安全に避難する行動に特化したシミュレーション」と考えてください。
| 項目 | 内容のイメージ |
|---|---|
| 目的 | 災害時に安全に避難し、ケガや命の危険を減らすこと |
| 身につくこと | 避難経路のイメージ、避難時の判断、落ち着いて動く力 |
| 主な場面 | 学校・職場・地域の防災訓練、家庭内避難訓練 |
1度も避難訓練を経験していないと、本番の災害では「どこへ逃げるのが安全なのか」「どのタイミングで動くべきか」が分からず、その場で固まってしまう人が多いと言われています。避難訓練は、この「最初の一歩」を迷わないようにするための大事な準備なのです。
個人や家庭でやっておくと良い
避難訓練は学校や地域で実施するイメージですが、本当に重要なのは「自分の家・自分の生活パターン」に合わせた家庭内での練習。内閣府が実施した「防災に関する世論調査」でも、災害への関心は高い一方で防災訓練への参加経験が「ここ1年ではなかった」と答えた人が半数以上。訓練と意識のあいだに差があることが示されています。
- 家の中で安全な場所を確認する
→ 地震のときに身を隠せる机の下、落下物が少ない部屋などを家族でチェック - 避難経路と集合場所を決めておく
→ 「玄関が使えないときはベランダ側から」「近所の公園に集合」など複数のパターンを - 非常持ち出し袋と防災グッズの置き場所を共有する
→ 懐中電灯、簡易トイレ、防寒グッズなどをどこに置いているか、家族全員が分かるように
家庭内避難訓練を1度やってみるだけでも、防災のレベルがぐんとアップ。「この家具は危ないから固定しよう」「非常時はこのリュックを持てばいい」などの具体的な改善点が見えてきます。
※参照元:防災に関する世論調査(令和4年9月調査)|内閣府(2025年12月時点)
企業や施設では法的義務がある
一方で、企業・商業施設・病院・学校などの建物では「避難訓練をやるかどうか」じゃありません。消防法に基づいた義務として定められており、企業や施設では「防災訓練=コスト」ではなく「人と事業を守るための最低限の準備」として避難訓練に取り組む姿勢が求められています。
防火管理者を選任している建物では、消防計画に沿って消火・通報・避難訓練の定期的な実施が求められ、特定用途防火対象物(百貨店・飲食店・病院・高齢者施設など)では、避難訓練や防災訓練を年2回以上実施するよう規定されています。
- 防火管理者や防災担当者を中心にした訓練計画の作成
- 消火訓練・通報訓練・避難訓練を定期的に実施
- 来館者や利用者も含めた避難誘導の流れを確認
こうした取り組みは、従業員や利用者の命を守るだけじゃなく事業の継続性にも直結。火災や地震で大きな被害を受けると、建物や設備はもちろん信頼や仕事のチャンスも失われやすくなります。
避難訓練で大事なことは?

避難訓練は、災害時に安全に逃げるために必要な力を高める「実践型の防災トレーニング」です。災害時の行動に自信を持つための1歩として、まずは特に押さえておきたい大切なポイントを見てみましょう!
- 判断力の精度を高める
- 命を守る行動を身につける
- まわりの人たちと声をかけあう
- 自分の暮らしに合う逃げ方を知る
- 訓練効果を高めるための振り返り
それぞれを知ると、避難するときの行動の質がぐんと高まり、災害時でも落ち着いて動ける「安心感」が身につきます。
判断力の精度を高める
災害時に最も重要なのは「何を優先して、どこへ向かうのか」が瞬時に判断できること。避難訓練をして「その場で何をどう判断すればいいのか」を少しずつ身につけていきましょう。
例えば、こんな判断がよりスムーズになります。
- 優先順位の判断 → 物を取りに戻らず、安全確保を最優先に考えられるか
- 避難経路の選択 → メインの道がふさがった時に、どのルートへ切り替えるか
- 周囲の危険の読み取り → 落下物、火のまわり方、水位の変化などが冷静に把握できるか
このような判断は、頭で理解していても、実際のシーンでは焦りや混乱でうまくできなくなるかもしれません。でも、訓練で「状況を見て動く」という経験を積んでおけば、体が自然と正しい行動へ。判断の精度が高いほど、ケガや二次被害が減らせます。
命を守る行動を身につける
避難訓練で、災害時の命を守るための「安全な行動」を体で覚えましょう。例えば、地震では揺れが収まるまで机の下で頭を守る「ダウン・カバー・ホールド」、火災では「姿勢を低くして煙を避ける」が基本行動。でも、知識だけではすぐに身体が動かず生死を左右するおそれもあります。
訓練で身につきやすいのは次のとおりです。
- 自分の身を守る基本動作(地震・火災・水害共通)
→ 頭を守る、低い姿勢で移動する、高い場所へ避難するなど - 避難動作のスピードをつかむ
→ 階段・出口までの移動を実際に試し、どれくらいの時間で避難できるか把握 - 非常持ち出し袋の使い方
→ 懐中電灯をすぐに取り出せるか、非常食の位置は分かるかなど、道具の扱い方
避難訓練で体が動きを覚えていると、災害時でも安全な行動がとっさに取りやすくなり、パニックによるケガや転倒などの危険が減らせます。
まわりの人たちと声をかけあう
避難訓練で「声かけ」がどれだけ安心感につながるかを肌で感じておきましょう。災害のときにスムーズに避難するためには、まわりの人とのコミュニケーションが欠かせません。声をかけあうことで、次のような効果が期待できます。
- パニックを抑え、冷静な行動につながる
→ 「大丈夫?」「こっちが安全だよ」などの一言で安心感が生まれる - 安全確認がしやすくなる
→ 視界が悪い場所や混雑した場所でも、人の存在に気づきやすくなる - 高齢者・子ども・ペット連れの人へのサポートがスムーズ
→ 後ろから支える、荷物を持つ、道をあけるなど協力しやすい
訓練で声をかけあう習慣が身についていると、実際の災害でも落ち着いたスムーズな避難に。「助け合い」は避難行動を支える大切なポイントなので、訓練でも意識して取り入れておきたい部分です。
自分の暮らしに合う逃げ方を知る
避難訓練で、自分の暮らしに合わせた「オーダーメイドの逃げ方」を確認しましょう。避難方法は、住んでいる場所・建物の構造・家族構成・通学・通勤ルートなどによって大きく変わります。つまり、最適な避難方法は人によって異なるということ。例として、次のようなポイントが大切です。
- 自宅から最も安全に出られる出口はどこか
→ 夜間や停電時に使いづらいルートがないかも確認 - 家族がバラバラのときの集合場所はどこか
→ 「学校」「会社」「自宅付近の公園」など複数のパターンを用意 - ペットを連れて避難するときはどう動くか
→ キャリーバッグの置き場所、抱きかかえる場合のルートなど
避難訓練を通して自分に合った逃げ方の「弱点」や「改善点」が見つかり、避難の安全性がぐんとアップ。アウトドア用品を活用した家庭向けの防災準備(ヘッドライト・折りたたみチェア・寝袋の利用)も、暮らしに合う備えを考えるうえで役立ちます。
訓練効果を高めるための振り返り
避難訓練で「うまくいった点」「問題があった点」を振り返りましょう。実施して終わりでは、せっかくのチャンスがもったいない!以下のようなポイントを確認しておくと訓練の質がぐっと高まります。
- 避難にかかった時間の確認
→ 思っていたより時間がかかった場合は、動線の改善が必要 - 危険だった場所の特定
→ 転びそうな段差、暗くて見えにくい場所、荷物で通れない通路など - 防災グッズの不足や使いにくさの発見
→ 懐中電灯の電池切れ、持ち出し袋の重さ、子どもが背負えないなど
振り返りは、改善の材料を増やせる貴重な時間。問題を1つずつ解決していくと、次の訓練の精度も上がり、災害時のリスクがさらに減らせます。
避難訓練は「避難三原則」の実践で効果アップ

避難訓練の効果を高めるために、知っておくと役立つのがどんな災害でも共通して役立つ「避難三原則」という考え方。これらを意識して訓練を重ねると災害の種類や状況に合わせて、最適な行動が自分で選べるようになります。
避難三原則とは
避難三原則とは、災害時の生存率を高めるために意識したい3つの基本行動のこと。「想定にとらわれない」「状況に応じた柔軟な判断」「率先避難」というシンプルな内容で、どんな災害にも応用できるのが特徴です。
特に、地震・津波・火災・水害などは状況がすぐに変わり、マニュアル通りに進まないことが多い災害。避難三原則を意識しておくと、そんな場面でも落ち着いて安全に行動しやすくなります。
- 想定にとらわれない
→安全だと思い込まず、状況を見て判断を変える姿勢を持つ
→道路の亀裂、火の広がり、水位の変化などその場の危険を優先する - 状況に応じた柔軟な判断
→ 家にとどまるのか、避難所へ向かうのか、車中泊へ切り替えるのか
→災害の種類、時間帯、天候などの条件によって行動を切り替える - 率先避難
→「様子を見る」を避け、自分から早めに動く
→特に津波ではわずかな時間差が命を守るため、ためらわず行動を始めることが重要
避難三原則を理解して避難訓練に当てはめると、災害に強い判断力と行動力が身につきます。
※参照元:特集 津波防災の推進について|内閣府(2025年12月時点)
シナリオを複数パターンで組む
避難三原則の1つ「想定にとらわれない」では、複数の避難シナリオを準備して訓練する方法が効果的!ひとつの想定だけでは災害への対応力は高まりません。実際、災害は毎回まったく違う条件で発生しているので、訓練内容も1パターンでは不十分です。
- 災害の種類
→ 地震・火災・水害・津波など、それぞれの危険が違うため避難経路も変わってくる - 時間帯
→ 昼間と夜間では使える道具や視界の状況が違う - 家族の状況
→ 子どもと一緒、高齢者と一緒、ペット同行、在宅一人など、状況に応じて動線や行動が変わる - 家のどこにいるか
→ 寝室・リビング・トイレなど、場所によって最初の一歩が違う
さまざまなケースを体験していくほど「もし違う状況でも応用できるか?」と自然と考えられるようになり、応用力が身につきます。これは、避難三原則の「状況に応じた柔軟な判断」を育てる土台。災害時の判断ミスの削減につながります。
自主的に動く訓練を加える
避難三原則のうち、もっとも大切なのが最後の「率先避難」です。これは「周りが避難していないからまだいいか…」という意識による逃げ遅れを防ぐ考え方。訓練に、以下のような合図を待たない自主的な行動を取り入れておくと、実際の災害時に素早く判断でき行動できるようになります。
- 自分で危険を察知して避難を開始するロールプレイ
→ 揺れを感じたら即座に頭を守る、スマホの緊急速報で高所へ移動するなど自分の判断で動く練習 - タイムアタック式の訓練
→ 非常持ち出し袋を持って家を出るまでの時間を測り、動きの改善点を見つける - 声を出して避難する訓練
→ 「こっち安全!」「大丈夫?」などの声かけを組み込み、助け合いながら動く習慣を作る - 防災グッズを実際に使って動かす訓練
→ ヘッドライトやモバイルバッテリーなど、普段から使い慣れておけば災害時の迷いが減る
自分から動ける力を育てる訓練は、避難三原則の中でも特に「逃げ遅れを減らす」うえで大きな助けに。自分で判断して自然に動けるようになれば、実際の災害時にも落ち着いた行動が取りやすくなります。
避難訓練の種類

避難訓練の種類はさまざま。それぞれの内容を知っておくと、災害ごとの行動がより具体的にイメージしやすくなります。
- 地震・火災・水害などそれぞれの特徴に合わせた訓練
- 家族の安否確認や非常食の使い方を覚える訓練
- スマホアプリやVRを使ったデジタル型の訓練
どんな状況でも落ち着いて判断できるようになるために、それぞれの内容を簡単に見ていきましょう!
災害別の避難訓練
災害別の避難訓練は、発生する危険の種類に合わせて動き方を変える練習。地震・水害・火災・津波などはそれぞれに特性があり「どこに逃げるべきか」「どんな危険があるか」というポイントも変わります。災害ごとの訓練で、実際の被害を少しでも減らしていきましょう!
地震避難訓練
地震の訓練では、まず「身を守る姿勢(ダウン・カバー・ホールド)」を体で覚えることが中心に。揺れがおさまった後は、落下物やガラス片を避けながら安全な出口へ移動するルートを確認します。家具の転倒を想定した環境で練習すると実践的な内容になります。
火災避難訓練・通報訓練・初期消火訓練
火災訓練は、煙を吸わないよう低い姿勢で出口へ向かう動きを練習。非常口の位置や避難階段までの導線を覚えることも大切です。あわせて、119番通報の手順や初期段階の火だけに使える消火器の扱いを確認しておくと、より現実に近い訓練になります。
津波・水害避難訓練
津波や水害は短時間で状況が変わるので、高い場所へ移動する訓練が中心に。自宅周辺の浸水想定や避難ビルを確認し、複数のルートを試しておくと安心です。
複合災害を想定した総合防災訓練
地震・火災・豪雨・停電など複数の災害が続く状況をまとめて練習する訓練。実際の災害に近い流れが体験でき、複雑な状況での判断力が身につきます。
目的別の避難訓練
目的別の避難訓練は「何を身につけたいのか」に応じて内容を調整した訓練。災害の種類に関係なく、普段の生活で役立つスキルを高めるのが特徴です。
安否確認訓練
家族や職場のメンバーの無事を確認する訓練。SNS・災害用伝言ダイヤル・LINEなど複数の連絡手段を使って連絡をとる練習をします。「どの手段がつながりやすいか」「誰に連絡するか」を話し合い、決めておくのが目的です。
避難準備訓練
非常持ち出し袋を実際に手に取り、戸締まりや安全確保のステップを確認する訓練。どれくらいの時間で家を出られるか測ると、改善点が見つかりやすくなります。家の中の整理や防災グッズの置き場所の見直しにもつながり、
子どもや高齢者がいる家庭では役割分担が確認できます。
非常食試食訓練
備蓄している非常食を実際に食べてみて、作り方や味を確認する訓練。アウトドア用の調理器具(クッカーなど)を試すことで、停電時の調理イメージがつかみやすくなります。おいしくない備蓄を残してしまう失敗も防げます。
デジタルツールを使った新しい避難訓練
最近、デジタル技術を使った避難訓練が急速に広まってきました。家でも学校でもできるので、気軽に取り入れられるのが強みです。
スマホ避難シミュレーション
地図アプリや防災アプリを使い、避難ルートや危険箇所を確認する訓練。地震・津波・豪雨などのシナリオが用意されていて、画面上で「どの道を選ぶか」「いつ避難するか」などを判断する練習です。家族と一緒に取り組むと、話し合いのきっかけにもなります。
VR防災訓練
ヘッドセットをつけて、火災や地震の状況をリアルに体験できる訓練。煙の怖さ・倒れる家具の危険・視界の悪さなど、実際の災害時のイメージを安全な環境でつかむ練習です。普段の訓練では気づきにくい危険を体感しやすいのが大きなメリットです。
避難所の避難訓練

ここからは、種類別に避難訓練の具体的なやり方をご紹介!まずは「避難所」へ向かうときのポイントを見ていきましょう。
事前準備とやり方
避難所の避難訓練では「どうやって避難所までたどり着くか」だけじゃなく「着いたあとにどう過ごすか」までのイメージがとても大切です。
事前準備
● 避難所の種類と開設条件を確認する
自治体のハザードマップで、指定避難所・指定緊急避難場所の違いを確認し、災害ごとにどこへ向かうのかを家族で共有します。
● 避難所での過ごし方をイメージする
床が硬い・音が響くなど、避難所特有の環境を想像しておくと落ち着きやすくなります。断熱マットを敷く動作を試したり、配給の受け取り動線を確認したりするとギャップが減ります。
● 非常持ち出し袋を「避難所仕様」に調整する
ヘッドライト・モバイルバッテリー・耳栓・アイマスク・薄手のブランケットなど、避難所で必要になる物を手前に入れておくとスムーズです。
やり方
● 避難所の候補を家族で決める
「どの避難所へ向かうのか」を事前に話し合い、場所とルートを地図で確認します。
● 実際に歩いて距離と時間を把握する
自宅・学校・職場から避難ルートを試し、危険箇所や暗い場所がないかチェックします。
● 避難所に着いた後の行動も試してみる
レジャーシートや断熱マットを敷く、荷物を置く位置を決めるなど、避難所での流れを軽く体験しておくと本番での負担が軽減されます。
役立つ防災グッズ3選
避難所での生活は、精神的にも身体的にも負担が大きくなりがち。ここでは、アウトドア用品としても使え、避難所生活をかなり楽にしてくれる3つの防災グッズを紹介します。
断熱マット

体育館などの固い床にそのまま寝ると、腰や肩が痛くなりやすく床からの冷えで体力が奪われます。キャンプ用の断熱マットが1枚あれば、クッション性と保温性が大きく変わり睡眠の質もぐんとアップ。普段はアウトドアや車中泊でも使えるので、備蓄してもムダになりにくいアイテムです。
アイマスク&耳栓

避難所は照明がつきっぱなしだったり、人の話し声や物音が夜まで続いたり。そんな環境でも少しでも休むために、光を遮るアイマスクと音を和らげる耳栓があるととても心強いです。後回しにしがちなアイテムですが、睡眠不足はストレスや体調不良につながるので、準備しておく価値があります。
折りたたみチェア

床に座りっぱなしだと腰や膝に負担がかかり、高齢者には特にきつい体勢に。アウトドア用の折りたたみチェアがあれば、待ち時間や食事のときにラクな姿勢で過ごせます。軽量タイプなら非常持ち出し袋や車に積んでおいても負担になりにくく、避難所での「自分の居場所づくり」にも役立ちます。
夜間の避難訓練

次に、夜間の避難訓練について見ていきましょう!
事前準備とやり方
夜の避難では、見える・聞こえる・濡れないの3つを意識した準備がとても重要。昼間とはまったく違う難しさがあり、街灯が少ない地域では足元が見えにくく、雨が降れば視界はさらに悪化。停電していると周囲の状況がほぼ分からないので、つまずきや転倒のリスクが高くなります。
事前準備
● 暗い環境で必要な道具を確認する
ヘッドライト・懐中電灯・反射材など、夜間に必須の道具を非常持ち出し袋の取り出しやすい場所に入れておきます。
● 夜間特有のリスクを共有する
視界不良・気温低下・人気の少なさなど、夜の避難で起こりやすい状況を家族で話し合っておきます。
● 靴・鍵・ライトの位置を決めておく
暗闇でも迷わず出発できるよう、玄関周りの配置を整えておくとスムーズです。
やり方
● 実際に夜の時間帯に歩いてみる
足元の見え方・危険箇所・街灯の有無など、昼間とは違うポイントを確認します。
● 停電を想定して玄関から外へ出る流れを試す
真っ暗な状態で靴を履く、鍵を探す、ライトを点けるなど、一連の動作を実際にやってみます。
● 家族間の声かけ方法を決めておく
暗闇では姿が見えにくくなるため、呼びかけのタイミングや合図を事前に決めておくと安全です。
役立つ防災グッズ3選
夜間避難の基本は、自分の姿を他者に見つけてもらうこと、足元の安全を確保すること、雨から体を守ること。この3つを押さえておくと安心です。
ヘッドライト

暗闇の中の移動に備えて、まず持っておきたいのがヘッドライト。スマホのライトでは片手がふさがり危険ですが、ヘッドライトなら手が空き、足元と進行方向がしっかり照らせます。明るさ調整や点滅モードがあるタイプなら、暗い道でも安全。安心して歩くためにも、非常持ち出し袋に必ず入れておきたいアイテムです。
反射材テープ

反射材テープは、暗い道で自分の存在を知らせるための手軽で頼れる防災グッズ。服やバッグに貼るだけで車や周囲から気づいてもらいやすくなり、転倒や接触事故の予防につながります。訓練の段階で貼る場所を決めておくと、災害時にあらためて準備する必要がないのも魅力的。夜間避難を想定した備えとして取り入れやすいアイテムです。
防水ウェア

夜間に雨が重なると体温が奪われやすく、避難が一気に難しくなります。そんな時にアウトドア用の防水ウェアがあれば、雨風をしっかり防げて動きやすさもキープ。軽量で収納しやすいタイプを選んでおくと、急な避難でもサッと羽織れて便利です。
車中泊の避難訓練

続いて、車中泊避難について見ていきましょう!
事前準備とやり方
車中泊避難は、浸水や建物倒壊の危険がある地域で「自宅に戻れない」「避難所が満員」「プライバシーを確保したい」という場面にとても有効な避難方法。しかし、車の中は狭い、温度変化が激しい、外から見えやすいのが難点。密閉空間によるストレスや換気不足が起きやすい点にも注意が必要です。
事前準備
● 車内に必要な物をまとめておく
毛布・モバイルバッテリー・ライト・目隠しなど、車中泊で使う物をひとまとめにしておくと役立ちます。
● 車を停める場所の候補を確認する
浸水しにくい高い場所や、自治体が案内する駐車エリアを事前にリスト化しておくと安心です。
● 長時間の滞在を想定した環境づくりを考える
シートの倒し方、換気方法、荷物の置き場所などをシミュレーションしておきます。
やり方
● 駐車位置から避難ルートを確認する
車を置いた場所から避難所や高台へ移動する道を一度歩いてチェックします。
● 車内レイアウトを実際に組んでみる
荷物の配置、寝るスペース、必要物の取り出しやすさを確認しながら動線を整えます。
● エンジンを使わない状態で過ごす練習をする
明かり・暖をどう取るか、窓の曇り対策などを試しておくと本番で慌てません。
役立つ防災グッズ3選
車中泊避難では、快適性を高めるアイテムがそのまま防災力につながります。ここでは、備えておくと安心度が大きく変わるアウトドア用品を3つ紹介します。
スリーピングマット

車内のシートは段差が多く、長時間横になると腰や背中が痛くなりがち。スリーピングマットを敷けば、凹凸が和らぎ断熱性が高まるので冬でも底冷えしにくくなります。空気注入式やフォーム式など種類はさまざまですが、車中泊では収納しやすい薄型モデルが便利。普段はキャンプにも使えるので、防災備蓄としてもムダになりにくいです。
多機能LEDランタン

車内は天井が低く影ができやすいので、広範囲を照らせる照明があると安心。ソーラー充電や手回し充電に対応した多機能タイプならエンジンを切っていても長く使えますし、中にはモバイルバッテリーとしてスマホを充電できるものも。夜間の車内整理やトイレへの移動などにも役立つので、1つあるだけで避難生活の快適性が上がります。
USBファン

車中泊で忘れられがちなのが、車内のこもった空気対策。USBファンがあると循環が良くなり、夏は熱気を逃し、冬は結露を軽減できます。モバイルバッテリーで動かせる軽量タイプなら、電源がなくても安心して使用可能。狭い車内のストレスを減らし、快適に過ごすためのシンプルで頼れるアイテムです。
赤ちゃん・高齢者・ペットと一緒の避難訓練

最後に、家族に赤ちゃん・高齢者・ペットがいる場合の避難訓練について見ていきましょう!
事前準備とやり方
避難訓練では、災害への備えとして「家族全員にあった形」の確認がとても大切。「移動にかかる時間」「必要なケア」「安全を守る方法」がガラッと変わるので、役割を分担していなかったり荷物にゆとりがなかったりすると、混乱の中で落ち着いて動けません。家族全員が落ち着いて避難できる状態を作ることが、なにより大切な備えになります。
事前準備
● 移動手段を確認する
抱っこ紐・ベビーカー・杖・歩行補助具・ペットキャリーなど、それぞれに適した移動手段を用意します。
● 必要物のリストを事前に作る
ミルク・薬・介護用品・ペットフードなど、個別に必要になる物を「専用ポーチ」にまとめておきます。
● 避難所での居場所をイメージしておく
授乳スペース、静かな場所、高齢者が休める椅子、ペット待機スペースなどを想定しておくと安心です。
やり方
● 実際に移動してみて所要時間を把握する
抱っこ・歩行補助具・キャリーケースでの移動速度を確認し、安全に進める道を選びます。
● 必要物の取り出しやすさを確認する
ミルク・薬・排泄用品など「すぐに必要なもの」が手前にあるか、実際に取り出してチェックします。
● 避難所での配置を試す
マットを敷く、荷物の置き場所を決めるなど、実際の状況を想定して動いてみるとギャップが減ります。
役立つ防災グッズ3選
赤ちゃん・高齢者・ペットを守るためのアイテムは、「軽い・使いやすい・すぐ使える」という3点がポイント。アウトドア用品にも代用できるものが多く、日常の延長で備えられます。
モバイルバッテリー

1台あれば、何かと役立つのがモバイルバッテリー。スマホが充電できれば、家族との連絡や必要な情報の確認がスムーズになり、アプリ・ネット・カメラなどを使って赤ちゃん・高齢者・ペットを支える行動がとりやすくなります。
特に、大容量(1万mAh以上)やソーラー充電対応のモデルだと長時間の停電にも対応できるので安心。ライト付きのモデルは夜間の移動や授乳時の足元照らしにも使えて便利です。訓練でどれくらいの頻度で充電が必要か確認しておくと、災害のときでも焦りません。
小型LEDライト

小型LEDライトは、暗い場所での移動やケアに大活躍。赤ちゃんの様子を確認したり、高齢者の足元を照らしたり、ペットが落ち着かなったりするときに、光が安心感につながります。
乾電池式・USB充電式など種類は多いですが、軽量で片手で扱いやすいモデルがおすすめ。アウトドア用のライトは明るさの調整が細かく、点灯モードも豊富なので夜間の避難でも使い勝手が良いです。訓練でどの明るさが適切か試しておくと、本番でも落ち着いて判断できますよ。
携帯トイレ

避難所や屋外避難では、トイレの混雑や水の不足がストレスの大きな原因に。特に、赤ちゃんのオムツ替えや高齢者のトイレ介助は、スムーズに処理できる環境が必要です。携帯トイレがあれば、きちんと吸水しつつニオイも抑えられるので重宝します。
使った後はしっかり密閉できる構造になっており、衛生面もしっかり確保。実際に1度開けてみると、使い方が簡単だと分かるので災害時の心理的負担が減らせます。
避難訓練のシナリオ作りのコツ

避難訓練を本番で役立てるために、いくつかのシナリオを作っておきましょう。実際の災害は、明るさ・天候・家族の状況・周囲の混乱など毎回条件が大きく変わるもの。とりあえず歩いてみるだけだと、本番では役に立ちにくいことがあります。
良いシナリオを作るための設計ポイントはこちら。
- 合図を決める
- 条件を変える
- 役割分担を決める
- 記録・評価の体制を整える
それぞれ具体的にお伝えしますね。
合図を決める
避難訓練を通して「いつ避難を始めるのか」を全員が同じ合図で理解できるようにしておきましょう。家族なら「揺れが収まったら声をかける」「火災を見つけたら決めた言葉を言う」など、パニック時でもすぐ判断できるシンプルな合図が向いています。
企業や学校で使われるベルや放送も便利ですが、災害時には聞こえにくい可能性があるので、音・声・動作など複数の伝え方を持っておくと安心です。
- 地震:揺れが収まったら「避難開始」など決めた一言 → 玄関に集合
- 火災:発見した人が短い合図語(例:赤)を叫ぶ → 姿勢を低くして退避
- 水害:避難情報の発令を合図にする → 荷物をまとめて玄関へ
- 夜間:声が届きにくいためライトを3回点滅 → 家族が起きて集合
訓練を重ねるほど、合図を目や耳にしたときに自然と体が反応するように。赤ちゃん・高齢者・ペットがいる家庭では、伝わりやすい短い言葉や光の合図などを選ぶと混乱が減ります。
条件を変える
条件を変えた避難訓練で、実践的な力をつけましょう。 実際の災害は「夜に起きる」「雨が降っている」「停電している」など、必ずしも理想の状態ではありません。同じ状況だけで繰り返すより、さまざまな条件を試しておけば、自分たちの弱点や準備不足に気づきやすくなります。
- 夜間:照明が少ない状態で避難ルートを歩く
- 雨天:レインウェアを着たまま動けるか確認する
- 停電想定:ライトのみで荷物をまとめる
- 荷物あり:非常持ち出し袋を背負って歩く
- 人混み想定:家族の間隔が空いても集合できるかを試す
条件を変えると、「普段通れる道が真っ暗だと歩きにくい」「思ったより時間がかかる」などの気づきが出てくるはず。こうした体験が、実際の災害時に落ち着いて判断するための大きな助けになります。
役割分担を決める
家族・学校・職場など複数人が参加する避難訓練では、それぞれに役割を決めましょう。誰かが全てを抱えるのではなく、できる範囲で分担すると混乱を避けやすく避難スピードが上がります。特に、赤ちゃん・高齢者・ペットがいる家庭では事前の役割分担が安全性に直結します。
- 安全確認係:避難経路の安全をチェック
- 情報係:スマホで気象情報・避難情報を確認
- 荷物係:非常持ち出し袋を持つ
- サポート係:高齢者や子どもの補助
役割は固定せず、訓練のたびに入れ替えると「誰が欠けても動ける体制」がつくれるのでおすすめ。アウトドアと同じで、チームとして動く訓練ができれば連携が上達します。
記録・評価の体制を整える
避難訓練は、ただやって終わりにせず記録して振り返りましょう。時間・ルート・持ち物・困った点などを書き残しておくと、家族やチームで「もっと安全に動くためには?」を考えやすくなり次の改善点がはっきりします。
- 危険を感じた場所
- 荷物の出しやすさ
- 避難にかかった時間
- 声かけのタイミング
- 誰がどこで遅れたか
記録はメモ紙でもスマホでもOK。写真を撮っておくと改善点が分かりやすく、次の訓練に活かせます。アウトドアでも同じですが「気づきを次回へつなげる」ことが安全な行動を磨くうえでとても有効です。
避難訓練を「意味のあるもの」にするコツ

避難訓練は特別なイベントじゃなく、普段の生活に少しずつ取り入れると実践力が育っていきます。自分の生活や行動パターンに合う形で訓練を続けながら「現実でもそのまま使える力」を身につけましょう!
避難訓練をより実践的なものにするコツはこちら。
- 現実的なシナリオでリアリティを上げる
- 実際に非常持ち出し袋を背負って逃げる
- 「おかしもち」などのセリフを覚える
- 気づいた弱点をすぐに改善する
- 定期的にくり返して体で覚える
たくさんあるように見えますが、1つずつ取り入れるだけで避難行動の質がぐっと上がります。
現実的なシナリオでリアリティを上げる
避難訓練の質を高めるために「実際に起こりそうなシーン」を思い浮かべながらシナリオを作りましょう。平常時は整った道を歩くかもしれませんが、実際の災害は家具が倒れていたり、暗くて見えなかったり、家族がバラバラになっていたり。こんな予測できない状況を設定してみると、格段に実践的になります。
理由は、シナリオが具体的だとどこでつまずくかが分かりやすく改善点が見つかりやすいため。アウトドアのフィールドワークでも同じで「机上の想定」と「実際に体を動かしたとき」では課題の見え方が大きく違います。避難訓練もリアルな条件に寄せると、災害時に「体が自然と動く状態」に近づけられますよ。
実際に非常持ち出し袋を背負って逃げる
本番で逃げ遅れないためにも、訓練で非常持ち出し袋を実際に背負ってみて「この重さだと走れない」「肩が痛い」「リュックの形が体に合わない」などの細かな問題を把握しましょう。
避難訓練は手ぶらで移動して終わることが多いですが、本番で手ぶらの人はほとんどいません。非常持ち出し袋には水・食料・ライト・防寒具などが入っているので、意外と重く長距離を歩くと疲れが出ます。
また、子どもや高齢者がいる家庭では荷物の重さがさらに負担に。訓練で問題が見つかれば、アウトドア用の軽量ギアに置き換えたり家族で荷物を分担したりするなど、より現実的な備えができるようになります。
「おかしもち」などのセリフを覚える
避難時に迷わず動くために「おかしもち」という短いセリフを覚えておきましょう。おさない・かけない・しゃべらない・もどらない・ちかづかないの頭文字を取ったもので、緊張している場面で判断ミスを防ぎやすくなります。意味もしっかり理解しておけば、周囲へ声をかけるときに落ち着いてまとめやすくなりますよ。
特に「おかしもち」のような短いフレーズは、年齢を問わず記憶に残りやすいのが特徴。子どもや学生はリズムで覚える方法との相性が良く、訓練中での混乱も減らせます。
アウトドアでも、安全行動を短いフレーズで覚える方法がよく使われますが、避難でも同じで、セリフを知っているだけで危険行動を避けやすくなります。ただ覚えるだけじゃなく、訓練中に実際に口に出してみるとより行動と結びつきやすくなりますよ。
※参照元:実践的な防災教育の手引き|文部科学省(2025年12月時点)
気づいた弱点をすぐに改善する
避難訓練で動いてみて気づいた弱点は「あとで直そう」と後回しにするのではなく、その場で手直しをしていきましょう。避難時は状況判断のスピードが求められるので、気づいた瞬間に小さく調整していく習慣をつけておくと実際の災害時にも迷いが少なくなります。
- 靴が脱げやすかった → 靴紐の結び方を変える
- 非常持ち出し袋が重すぎた → 中身を見直す
- 子どもと歩調が合わない → 並び順を変える
その場で修正しておけば、同じ失敗を繰り返さず、訓練の効果がどんどん蓄積。アウトドアでも「気づいた不便はすぐに調整する」ことで次の行動が格段にラクになりますが、避難訓練も同じです。
定期的に繰り返して体で覚える
年に数回、短時間でもいいので避難訓練を重ねていきましょう。避難は知識だけでは身につきにくいので、少しずつ体で覚えていくことが大切。繰り返すうちに焦りや怖さが薄れ、逃げる順番・声のかけ方・体の動かし方が自然とできるようになっていきます。
また、家庭の状況はその時々で変わっていきます。子どもの成長・家族の生活リズム・季節・家具の配置など、訓練のたびに新しい課題が見つかることも。今の自分たちに合った避難スタイルを保つためにも、定期的な見直しがとても役立ちます。
アウトドアのスキルも、反復するほど体が覚えて自然と動けるようになりますが、避難もまったく同じ。積み重ねた経験がそのまま安心につながり、家族みんなが落ち着いて避難しやすくなります。
アウトドアの知恵を「日常の備え」に変える避難訓練へ
避難訓練は「もしものときに命を守る力」を身につけるだけじゃなく、日常の暮らしを安心に近づけるための大切な習慣。リアルなシナリオで動いてみること、家族の役割を整理すること、実際の非常持ち出し袋を背負って歩くことなど、小さな工夫を積み重ねるほど自信が育ちどんな状況でも一歩を踏み出しやすくなります。
そして、災害時に役立つ防災グッズの多くは、アウトドア用品ととても相性が良いのもポイント!断熱マット・LEDランタン・折りたたみチェア・USBファン・防水ウェアなどは、普段のキャンプやレジャーだけじゃなく災害時の安全や快適さを支えてくれます。

国内最大規模のアウトドアショップ「サンデーマウンテン」では、こうした「防災にもアウトドアにも使えるギア」を幅広く取りそろえました。避難訓練で見つかった課題を解決するグッズを選んだり、家族構成に合わせて装備を見直したりするときにも最適なラインナップです。
もし「何を選べば良いか迷う」「家庭に必要な防災グッズを揃えたい」と感じたら、サンデーマウンテンの防災グッズを集めたページをチェックしてみてください。アウトドアの知恵を備えに変えて、あなたの暮らしをもっと安心に近づけましょう!

























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