非常持ち出し袋を用意して、災害発生時の最初に役立つ心強い味方を作りませんか?
でも、最近は防災グッズの種類が多すぎて「どれが必要でどれが不要なのか」が判断しにくい状況。非常持ち出し袋にも「一次」と「二次」の2パターンあり、違いが複雑に感じて準備が止まってしまう人が増えています。
そこで、
「非常持ち出し袋って本当に必要?」
「どんなものを入れればいい?」
とお悩み中のあなたへ、一次持ち出し袋と二次持ち出し袋の中身をそれぞれ丁寧にご紹介。防災用リュックの選び方や詰めすぎで役に立たなくなるトラブル例など、非常持ち出し袋づくりで迷いやすいポイントを分かりやすく整理しました。
完成した非常持ち出し袋を、どこに置くか、どんな環境で保管するかも、使いやすさがガラリと変わるので要チェック!国内最大規模のアウトドアショップ「サンデーマウンテン」が自信を持っておすすめするアウトドア防災グッズも参考にしながら、あなたと家族の命を守る最初の備えを整えていきましょう!
非常持ち出し袋で災害直後を生き抜こう!

非常持ち出し袋は命を守る必要最低限セット
非常持ち出し袋とは、災害直後の安全確保と、その後の避難生活や在宅避難を支えるための備えをまとめた防災セットのこと。急いで避難が必要なタイミングでも避難生活が長引くケースでも、状況に合わせて必要なものをすぐに取り出せるように準備しておくのが目的です。
非常持ち出し袋づくりで、どの家庭でも共通して大切になるポイントは次の3つ。
- 危険から身を守れる
- 迷わず手が伸びる場所にある
- 家族それぞれの需要に合っている
使う場面をイメージしながら中身を選ぶと、本当に必要な物だけが残り、負担のない非常持ち出し袋に。家族構成や季節に合わせて調整しておくと、いざという時に使いやすい備えとして機能します。
一次持ち出し袋はすぐに持って逃げるもの
一次持ち出し袋は「避難指示が出たから今すぐ家を出る」というシーンで、片手でサッとつかんで背負える防災セットのこと。火災の延焼が迫っている・津波の危険がある・大きな余震が続いているなど、とにかく一刻も早く安全な場所へ移動したい状況で使用します。
- 両手を自由にしておける形にする
- 走っても転ばない重さにおさえる
- 災害直後〜1〜2日を生き抜く中身に絞る
一次持ち出し袋は、家から離れるときに必ず一緒に出る「命綱」のような存在。ここに詰める中身は「あったら便利じゃなく「これがないと危ない」というものだけに絞ると、災害直後の行動がグッとシンプルになり自信を持って避難しやすくなります。
二次持ち出し袋は避難生活を支えるもの
二次持ち出し袋は、一次持ち出し袋で安全な場所に避難したあと「避難所・自宅避難・車中泊」での不自由な生活を数日〜1週間ほど続けることを想定したセットのこと。イメージとしては「暮らしのミニマム版」をもうひとつ用意しておく感じに近いです。
- 必要な水や食料を補う
- 避難生活の不便を減らす
- 寝具や衣類などで体力を守る
二次持ち出し袋は一次持ち出し袋よりも量が多くなりがちなので、自宅の玄関近く・物置・車のトランクなど「あとで取りに戻れる場所」に分散しておくケースが多め。一次と二次を意識して分けておくと「とりあえずこれだけ持って逃げればいい」「落ち着いたらあれを取りに行こう」と頭の中が整理され、避難後の生活のイメージがつかみやすくなります。
※参照元:防災グッズ一覧|広島県(2025年11月時点)
非常持ち出し袋は「リュック型」がベスト

非常持ち出し袋に入れるものを考える前に、まずは「何に入れるか」を決めておきましょう!容量・耐水性・耐久性などによって、中身も調整が必要です。
防災の専門家や自治体の多くがすすめているのは、両手があいて動きやすいリュック型。逆に、非常持ち出し袋に向かないバッグの例も見ながら、どんなリュックを選べば良いかをイメージしてみてください。
背負っても疲れにくい容量
非常持ち出し袋に入れる量は「できるだけ多く」じゃなく「背負って歩けるギリギリ手前」が目安。防災リュックの場合、容量は一般的に20〜30Lがバランスの良いサイズと言われています。
- 一人暮らし:20〜25L
- 夫婦・2人世帯:25〜30L
- 家族で分担する場合:30L前後を2〜3個に分ける
成人でも、非常持ち出し袋に必要な物を詰めると重さはすぐに8〜10kgほどになることがあります。大容量の旅行バッグを背負う感覚じゃなく「この重さで小走りできるか?」を基準に考えてみてください。
普段の買い物袋がずっしり感じる重さや、満杯のバックパックを背負ったときの負担を思い出すと、避難時に無理のない重さの目安がつかみやすくなります。
背中から離れにくいフィット設計
同じ重さでも「背負いやすいリュック」と「やたら重く感じるリュック」があります。ポイントはフィット感。登山リュックやアウトドア用の防災リュックは、背中に沿う形や肩ベルトの形状が工夫されていて荷重が分散しやすくなっています。
- 太めでクッション入りのショルダーベルト
- 腰骨あたりを支えるウエストベルト
- 胸の前でとめるチェストベルト
- 背中の長さに合った背面パッド
これらがそろっていると、重さが肩だけじゃなく胸や腰にも分散されるので軽く感じます。
でも、体格に合わない大きなリュックを背負うと、重さで体が後ろに引っぱられて避難時に歩きにくくなることも。非常持ち出し袋が完成したら、試しに背負って鏡の前に立ち、姿勢が大きく崩れていないかを確認しておくと長時間の避難でも疲れにくくなります。
濡れても中身が守れる防水性と耐久性
豪雨・台風などの水害に備えて、非常持ち出し袋は防水性と耐久性も重要。普段使いの布バッグや簡単な撥水加工だけのリュックだと、強い雨の中を移動しているあいだに水が染み込んで中身が濡れてしまうおそれがあります。防災やアウトドア用途では、防水コーティングされたナイロンやポリエステル素材のリュックがよく使われています 。
- 生地そのものに防水加工がされているか
- 底面が二重になっていて、地面に置いても破れにくいか
- ファスナー部分にフラップ(雨よけの布)が付いているか
- 反射材が付いていて、夜間でも自分の位置がわかりやすいか
中身の防災グッズを最適なものにしても、入れ物である防災リュックがすぐ傷んでしまっては意味がありません。雨の中でも中身を守れる防水性と、がれきや階段ですれても破れにくい耐久性を確保しておくと「非常持ち出し袋ごとダメになる」というリスクが減らせます。
自然環境での持ち運びに適さないバッグはNG
非常持ち出し袋の中身をしっかり準備していても、バッグの形が避難向きじゃないといざというときに持ち運びにくくなってしまいます。悪路でも両手を自由にして運べるリュック型が基本だと覚えておきましょう。
特に、防災の専門家や自治体が共通して注意しているのが次のようなタイプです。
- 片側の肩にかけるショルダーバッグ
- キャスター付きのキャリーバッグ
- 手提げのトートバッグや紙袋
ショルダーバッグやトートバッグは、片手がふさがりやすく、重くなると肩にくい込むので長時間の避難に向いていません。
キャリーバッグはぱっと見は楽そうですが、階段・段差・砂利道・ぬかるみなどの自然の地形や壊れた道路ではタイヤが引っ掛かって動かなくなるおそれがあります。特に、地震や水害のあとは、アスファルトが割れていたり泥がたまっていたり。キャスターに頼った避難は、実際の災害時ではうまくいかないケースが多いです。
非常持ち出し袋に入れておくものは?
リュック型の入れ物がイメージできたら、いよいよ中身の詰め込みスタート!とりあえず全部入れておくのではなく、役割ごとに整理するとグッとそろえやすくなります。
- 一次持ち出し品:発災直後に命を守るため
- 二次持ち出し品:その後の避難生活を支えるため
それぞれを分けて、必要な中身をイメージしてみてください。
一次持ち出し品

一次持ち出し品は「今すぐ家を出ないといけない」というシーンで、非常持ち出し袋として背負って避難するための最優先アイテムです。重要なのは「命を守る最低限に絞ること」と「家族の事情に合わせて中身を調整すること」の2つ。限られた時間で安全に避難するために、リュックの中身は欲張りすぎずシンプルで取り出しやすい状態にしておきましょう。
- 水(500ml×数本)
- 調理不要の食料(栄養補助食品・ビスケット等)
- 懐中電灯またはヘッドライト
- モバイルバッテリー
- 携帯ラジオ
- ホイッスル
- 現金・身分証や保険証のコピー
災害直後に起こりやすい「暗闇」「空腹」「情報不足」「連絡手段の断絶」などのリスクを下げてくれる重要な装備。背負ってすぐ動ける軽さに保ちつつ、最低限の行動がとれるように整えておきましょう。
- 携帯トイレ(3〜5回分)
- ポリ袋・小さなビニール袋
- ティッシュ・少量のトイレットペーパー
災害時はトイレが使用できなくなるケースが多く、早いタイミングで衛生状態が悪くなりがち。特に、夜間や悪天候の避難では、屋外で安全に排泄できる状況が整わないことが多いので、携帯トイレは必須と考えておくのが安心です。
- 持病の薬
- 補聴器用電池
- アレルギー対応食
- メガネ・コンタクトレンズ など
これらは代わりがきかないもの。防災リュックの外側ポケットなど、取り出しやすい位置に入れておくと避難先でも混乱しにくくなります。家族分のリストを紙で入れておくと、定期点検のときに漏れを防ぎやすくなりますよ。
- フード・水
- 首輪・リード
- うんち袋
- キャリーケース
ペットを連れて避難する同行避難の場合は、人間用の非常持ち出し袋とは別に小さめのバッグを準備するのがベスト。いつも食べているフードや慣れた道具を入れておくと、突然の避難でもペットが落ち着きやすくなります。
二次持ち出し品

二次持ち出し品は、避難生活が続く場合や一時的に在宅避難をするときに役立つ道具をまとめたもの。避難所の環境は季節や混雑状況によって大きく差が出るので、自分や家族が少しでも安心して過ごせるように生活を支えるものをそろえておきましょう。
ポイントは「すぐ使うものじゃないけど、避難生活が続いたら必要になるもの」を中心にそろえること。一次持ち出し品と組み合わせると、災害後の数日間をより安全に安心して過ごせる備えが整います。
- 追加の飲料水・非常食
- 乾電池
- ウェットシート
- 使い捨てカトラリー
- 小型ソーラーライト
二次持ち出し品は「急いで使う物」じゃなく「避難生活が続く時にあると助かる物」が中心。一次持ち出し品だけでは不足しがちな水や食料を補ったり、衛生環境を保つための道具を追加したりすると、避難中のストレスや体力消耗が抑えられます。
- 体拭きシート
- 歯みがきシート
- マスク・アルコール類
- 速乾タオル
- 生理用品
避難生活が長引くと、清潔を保てないのが原因で体調を崩しやすくなります。特に、水の不足やトイレ環境の悪化が起こりやすい災害では、衛生用品が生活の快適さをアップ。コンパクトで軽い物を集めておくと、収納や持ち運びも苦になりません。
- 下着・靴下
- 軽量の着替え
- 簡易スリッパ
- 防寒用の羽織り
- アイマスク・耳栓 など
避難所では、照明がついたままの寝室や周囲の生活音など普段とは異なる環境で過ごすことに。体を休めるための「環境調整アイテム」を入れておくと、ストレスを減らして回復力を保ちやすくなります。
- 夏の例:冷却タオル、塩分タブレット、携帯扇風機
- 冬の例:アルミブランケット、手袋、カイロ
季節の変化は体調に大きく影響します。避難生活中はエアコンが自由に使えないケースが多いので、暑さ・寒さをしのぐアイテムが欠かせません。特に、冬場は冷えによる体力低下が深刻なリスクになるので「軽くて暖かいもの」を優先して入れておくと安心です。
※参照元:特集 災害の備え、何をしていますか|内閣府(2025年11月時点)
非常持ち出し袋は「詰めすぎ」がよくある失敗ポイント

非常持ち出し袋の中身は、とにかくたくさん入れておけば安心かもしれませんよね。でも本当は「軽く・シンプルに」が大切!自治体や防災サイトでも、非常持ち出し品は「詰め込み過ぎないこと」が大事だとくり返し伝えられています。実際によく起きる3つの失敗パターンを押さえて、あなたの「もしも」に備えるヒントにしてみてください。
いざという時に見つからない
非常持ち出し袋の詰めすぎで多いのが「入れたはずのものが、とっさに見つからない」というパターン。リュックの中がパンパンで、あちこちに小物を突っ込んでいると、ヘッドライト・携帯トイレ・モバイルバッテリーなど本当に必要な防災グッズがすぐに取り出せません。
例えば、停電して真っ暗な中で懐中電灯を探すシーンを想像してみてください。取り出しにくさがどれだけストレスになるかがイメージしやすいと思います。
このようなトラブルを避けるためには、まず「優先順位の低いものは二次持ち出し品にまわす」という整理が大切。そのうえで、一次持ち出し袋の中は以下のようにシンプルな構造にしておくと扱いやすくなります。
- 頻繁に使うもの(ライト・スマホ・ホイッスル)は外ポケットや取り出しやすい上部へ
- 貴重品や薬など、絶対なくしたくないものは小さなポーチにまとめて内側へ
- 小物は透明なジッパーバッグに入れて、中身を一目で分かるように
防災教室や防災イベントでは「どこに何があるか、目をつぶっていても手が動くくらいが理想」と言われることも。非常持ち出し袋は「ぎゅうぎゅうに詰まった宝箱」じゃなく「必要なものがすぐつかめる便利ボックス」だと考えてレイアウトを決めると、いざという時にも慌てず使えるセットに近づきます。
重すぎて持ち出せない
非常持ち出し袋の失敗談で一番多いのが「試しに背負ってみたら重すぎてムリだった」というケース。防災サイトの多くでは、大人の一次持ち出し袋の重さは10kg程度までを目安にする例がよく紹介されていますが、実際には体力や体格によって許容範囲が大きく違います。
特に、学生さん・小柄な方・高齢者の方は「中身を詰めてみたら、階段を降りるだけでヘトヘトになった」という状況になりがち。重すぎる非常持ち出し袋には、転倒やケガにつながったり子どもやペットの世話がしにくくなったり。途中でリュックを置いてきてしまうおそれもあります。
こうしたトラブルを避けるには、詰める前に次のポイントを意識することが重要。
- 自分が持てる重さを知る
- 家族で分担する前提で考える
例えば、休日に実際に防災リュックを背負って自宅の周りを5〜10分ほど歩いてみてください。階段や坂道も含めて試すと、どのくらいの重さなら無理なく動けるかがよく分かります。
そのうえで、防災リュックの中身を「背負って移動できる重さ」に調整。水や食品などのかさばる二次的アイテムはほかの場所にまとめておくと、一次持ち出し袋として扱いやすくなります。
期限切れで使えない
非常持ち出し袋の中身は、一度詰めたら終わりじゃありません。長期保存食・飲料水・防災用の電池・モバイルバッテリーなどには賞味期限や使用期限があり、そのまま何年も放置すると「いざという時に使えなかった」というトラブルが発生します。
実際、過去の災害後の調査では「非常食の賞味期限が切れていた」「懐中電灯の電池が液漏れしていた」といった声がたびたび挙がっています。
期限切れを防ぐための、シンプルな工夫は次のようなものです。
- 防災リュックの中身リストを紙やスマホにメモ
- 食品・水・電池・薬など「期限のあるもの」にマーカー
- 年に1回、もしくは季節の変わり目など決まったタイミングで中身をチェック
防災の考え方として広がっている「ローリングストック」という方法も有効。普段から非常食や飲料水を日常生活で消費しつつ、そのぶんを買い足していくと家のストックが一定量キープできます。さらに「食べ慣れたもの」が災害時にも持ち出せる状態を保てます。
※参照元:災害に備えた食品の備蓄に関する実態調査|国民生活センター(2025年11月時点)
非常持ち出し袋は「すぐ手に取れる」収納を

非常持ち出し袋の中身がしっかりそろったら「どこに」「どうやって」置いておくかも考えてみましょう!
地震・火災・水害などは、真夜中や外出前後などタイミングを選んでくれません。玄関まわりが散らかっていて防災リュックまでたどり着けない、物置にしまい込んであって出すのに時間がかかる…などの状態だと、せっかく準備した非常持ち出し袋が生かしきれません。
おすすめの収納場所一覧
非常持ち出し袋は「避難するときに通りやすいところ」「家族全員がぱっと思い出せるスペース」を意識して置いておきましょう。
- 寝室のドア付近やベッドのそば
- リビングの出口付近の収納ラック
- 玄関まわり(下駄箱の上・横、廊下の棚)
- マンションなら共用廊下に近いクローゼット
夜間の災害に備えるなら、寝室からすぐ届く場所に1つあると安心。家の間取りによっては、2階寝室のドア近くに軽めの非常持ち出し袋、1階玄関には少し重めのもの、という配置が負担が少なく済みます。
大事なのは、「この家の非常持ち出し袋はここ」と家族全員が同じ意識を持てること。見えない場所にきれいに収納するより、多少目立ってもすぐ手に取れる位置を優先したほうが非常持ち出し袋として優秀です。
分散配置でスピードアップ
非常持ち出し袋は1か所にどっしり置くよりも、用途に合わせて分散させたほうが避難行動がスムーズに。例えば、一次持ち出し袋は玄関と寝室にそれぞれ1つずつ、二次持ち出し品やアウトドア用品をまとめた防災セットは物置や車のトランクに置く、といったイメージです。
- 家の中:玄関・寝室・リビング付近に、背負える防災リュックをそれぞれ配置
- 外まわり:屋外物置やガレージに、水・非常食・アウトドアギアなどの二次持ち出し品を保管
- 車:車中泊を想定し、モバイルバッテリー・ブランケット、レインウェア・目隠しシェードなどを常備
こうしておくと「どこから避難しても、最低限の非常持ち出し品は手に入る」状態に近づきます。家族の人数が多いなら「この防災リュックはお父さん担当」「これは中学生の長男担当」のように、持ち出し担当をざっくり決めておくのもOK!誰がどの非常持ち出し袋を持つか迷いにくくなります。
温度・湿度・害虫に要注意
非常持ち出し袋の中身を、どんな環境で保管するかも意識しておきたいところ。特に、飲料水・非常食・乾電池・衛生用品・紙類などは高温・多湿・直射日光に弱いものが多いので、押し入れ・納戸・屋外物置などにしまいっぱなしにしていると劣化が早く進みます。
- 夏場に高温になりやすい屋根裏やロフト
- 湿気がこもりやすい床下収納や窓際の収納
- 雨風が入りやすいベランダの物置、直射日光のあたる棚
これらの場所に非常持ち出し袋を置くなら、棚板にすのこを敷いて風通しを良くしたり防水ケースやコンテナに入れたりして、温度や湿度の変化を少しでも和らげる工夫を。また、段ボール箱で保管すると害虫が入り込みやすく、非常食の包装を噛まれてしまうので、プラスチック製の蓋付き収納ボックスに入れ替えると衛生的です。
防災グッズとして入れているアウトドア用品も、湿気でカビが生えたり金属部分が錆びたりしないよう、ときどき中身の状態をチェックしておくと、いざという時に気持ちよく使えます。
プロが厳選!非常持ち出し袋に入れたいアウトドア用品8選

非常持ち出し袋の中身を、アウトドア用品でレベルアップさせませんか?
キャンプや登山向けのギアは、もともと「電気・水・ガスがない環境で安全に過ごす」ために作られているので、防災グッズとしても相性抜群。国内最大規模のアウトドアショップ「サンデーマウンテン」でも、防災とアウトドアの両方で頼れる味方を種類豊富にご用意しています。
今回ピックアップした8つのアイテムについて「なぜ非常持ち出し袋に入れておきたいのか」「選ぶときのポイント」を専門家の視点でお伝えしますね!
モバイルバッテリー

停電が続く中、スマホを守ってくれるのがモバイルバッテリー。スマホは連絡手段としてはもちろん、避難情報・ハザードマップ・天気予報・SNSなど、災害時の「情報ライフライン」になります。一次持ち出し用なら、少なくとも10,000mAh以上の容量があるものを選ぶとスマホが数回充電できるので安心です。
- 2台以上同時に充電できるUSBポート
- 急速充電(PDなど)に対応しているモデル
- LEDインジケーターで残量が一目でわかるもの
- 落下や水濡れにある程度強いアウトドア仕様(耐衝撃・防塵・防水など)
最近は、LEDライト・ランタン・ソーラーパネルと組み合わせて使えるモデルも増加中!キャンプでも日常でも使いながら、非常持ち出し袋に「充電済みの1台」を常備しておくと停電時の不安がかなり軽くなります。
LEDランタン

ライトは懐中電灯とスマホだけ…というご家庭も多いですが、避難所や在宅避難ではLEDランタンがあるともっと快適です。
懐中電灯が「ピンポイントで明るくする」ものだとしたら、LEDランタンは「まわり全体をぽわっと照らしてくれる」タイプ。家族みんなで明るさが分け合えるので、子どもも暗さにびっくりしにくく、避難先でも落ち着きやすい雰囲気がつくれます。
- 連続点灯時間が長い(弱モードで数十〜100時間など)
- 明るさ(ルーメン)や色(白・オレンジ)が調整できる
- 吊り下げ・置き型・マグネットなど、多様な設置に対応
- USB充電式・乾電池式に加えて、ソーラー充電にも対応
- 防水・防塵仕様で、屋外や雨天の避難でも使いやすいデザイン
中にはモバイルバッテリー機能付きランタンもあり「照明」と「充電」の両方が1台でまかなえるモデルも!自宅では間接照明として、キャンプではテント内の灯りとして、普段から使い方に慣れておくと災害時にも落ち着いて扱えます。
レインウェア

アウトドア品質のレインウェアは、防災グッズとしてとても優秀。雨の日の通学・通勤はもちろん、避難が必要なシーンでも両手を空けたまま体を雨や風から守れます。
傘は強風やがれきで壊れやすく、片手がふさがってしまうので避難するときは危険。アウトドア用のレインジャケットとレインパンツのセットなら、動きやすく濡れにくく体が冷えにくいので、非常持ち出し袋に入れておくとかなり心強いです。
- 耐水圧(雨をどれくらい防げるか)と透湿性(ムレにくさ)のバランス
- 顔まわりをしっかり覆えるフードの形状
- 収納袋付きでコンパクトにたためるか
- 手首や裾を絞れる仕様かどうか
キャンプ向けレインウェアは、防風性や保温性も考えられている仕様がほとんど。雨だけじゃなく「冷たい風」を防ぐ防寒着としても役に立ちます 。非常持ち出し袋には家族分を1セットずつ入れるとかさばるかもしれませんが、「外に出て様子を見に行く担当の人の分」だけでも用意しておくと安心感がぐっと変わります。
マルチツール

マルチツールは、ナイフ・ハサミ・プライヤー・ドライバーなどがひとつにまとまったアウトドア用品です。災害のときでは、段ボールをカットしたり、ロープを調整したり、缶詰を開けたり、細かい修理をしたりとちょっとした作業に大活躍。非常持ち出し袋に1つ入れておくだけで「あ、これがあればすぐ直せるのに」という後悔がかなり防げます。
- 必要なツールだけ入っているか(ナイフ・ハサミ・ドライバー・缶切りなど)
- 片手でも扱えるサイズか(大きすぎると災害時に使いにくい)
- 滑りにくいグリップか(濡れた手でも扱えるかが重要)
- 刃のロック機構が安全か(不意に閉じない設計が安心)
- 開閉がスムーズか(固すぎると緊急時に手間取る)
- 持ち運びに負担のない重さか
選ぶときは、使いもしない機能がたくさん付いた大きなモデルより「よく使うものだけをコンパクトにまとめたタイプ」が扱いやすいのでおすすめ。普段から手になじむか、片手で扱えるかをチェックしておくと、いざというときにもスムーズに使えます。
また、刃物を含むアイテムなので日頃から安全に使えるように扱い方の確認が大切。お子さんがいる家庭では、「大人が管理し、必要なときに一緒に使う」という決まりを作っておくとトラブルが防げます。
携帯浄水器

大きな地震や水害で上水道が止まると、一番困るのが「飲める水」の確保です。そんなときに頼りになるのがアウトドア用の携帯浄水器。川の水・雨水・水道復旧前の水などから細かなゴミや一部の雑菌を取り除き、飲用レベルに近づけるためのフィルターがついています。
ただし、どこまできれいにできるかは製品ごとに性能が違うので要注意!
- ろ過できる総量(何リットルまで使えるか)
- 除去できるもの(細菌・濁り・一部のウイルスなど)
- ろ過できる対象(水道水レベルか、河川水にも対応か)
- 使い捨てタイプか、フィルター交換で繰り返し使えるか
携帯浄水器だけに頼らず「ペットボトル水の備蓄+携帯浄水器+ウォータータンク」のように組み合わせると、災害時の水対策がより安心なものになります 。アウトドアでは沢登りやキャンプで使い慣れておき、いざという時には「最後の一手」として使えるよう準備しておくのがおすすめ!
防水ポーチ

防水ポーチ(ドライポーチ)は、カヤック・サップ・トレッキングなどで荷物を水から守るためのアウトドア用品。中身を仕分けしながら二重に防水できる「インナーケース」のような役割があり、非常持ち出し袋そのものとは別ものとして災害時に活躍します。
- 5〜10L程度のサイズを選び、防災リュックの中に入れてインナーとして使う
- 明るい色を選ぶと、暗い場所でも見つけやすい
- 口を巻いて留めるロールトップ式が扱いやすい
スマホ・貴重品・衣類・タオルなどをまとめて入れておけば、避難中の雨や泥、避難所での床の湿気から守れるのでとても便利。「乾いた衣類セット」「貴重品セット」「小さな救急セット」などでまとめておくと、汚れたときやケガなどへの対応もスムーズです。
キャンプやプールなどで使ったあと「しっかり乾かしたら非常持ち出し袋に戻す」というサイクルにすると、ムダのない備えが続けやすくなりますよ。
エアマット

避難所の床は板張りや体育館のフロアなどが多く、毛布だけでは腰や肩が痛くなりやすいのが欠点です。空気を入れてふくらませるタイプのエアマットがあれば、地面の硬さと冷たさから体を守ってくれるので大助かり。体圧を分散して寝心地を良くし、地面からの冷えを軽くしてくれるので体力の温存にとても役立ちます 。
- ストローや内蔵ポンプで簡単に空気が入れられる
- 収納時にペットボトル程度のサイズまでコンパクトになる
- 大人が寝転んでも肩や腰がはみ出さない長さ(180cm前後)
エアマットが1枚あるだけで、睡眠の質がぐんとアップ。体がしっかり休めないと日中の片付けや移動でミスやケガが増えやすくなるので、非常持ち出し袋や二次持ち出し品の中に「睡眠のためのアウトドア用品」として1つ入れておくと安心です。家で試しに膨らませて昼寝してみると、自分や家族に合った厚みや硬さがわかりやすくなりますよ。
寝袋

アウトドア用品の定番ともいえる寝袋は、キャンプだけじゃなく避難所・車中泊・防寒が不十分な自宅での在宅避難など、さまざまなシーンで大活躍。毛布だけでは体の横や足元が冷えやすいのに対して、寝袋は全身をすっぽり包み込んで体温を守る構造なので寒い夜でも暖かさがキープできます。
- 春〜秋まで使える「3シーズンタイプ」を選ぶ
- 化繊中綿のモデルなら、湿気に強くお手入れも簡単
- 使用温度域(快適温度)が自分の住んでいる地域に合っているか
- 収納ケース付きで、非常持ち出し袋や二次持ち出し品と一緒に保管しやすいか
最近は、普段はソファに置けるクッションタイプや、ポンチョのように着られるタイプも登場!日常生活でブランケット感覚で使いながら、災害時には本格的な防災グッズとして頼れる1枚になります。
家族全員分をいきなりそろえるのが難しい場合は、まず冷えやすい人の分だけ準備するのもおすすめ。少し高価なものなので、少しずつ増やしていきましょう。
非常持ち出し袋の定期チェックで本当に使える体制に!

非常持ち出し袋が完成したら、そのまま放置するのはNG!準備して終わりじゃなく「いつでも使える状態」をキープして、本当に動かせる備えをしておきましょう!
中身のチェックと見直しのタイミングを決めておけば、いざという時に「開けてみたら使えないものだらけ」という残念な状況が減らせます。
中身のチェック項目
非常持ち出し袋の定期チェックでは「期限」「状態」「自分たちの暮らしとのズレ」の3つを意識すると整理しやすくなります。ざっくりと、次のポイントをリストアップしておきましょう。
- 食品・飲料水の賞味期限
- 常備薬・湿布・目薬など医薬品の使用期限
- 乾電池・モバイルバッテリーの残量や劣化
- 衣類・下着・おむつなどのサイズや季節感
- マスク・ウェットティッシュ・生理用品など衛生用品の残量
- マルチツール・LEDランタン・エアマットなどアウトドア用品の傷み
チェックするときは、非常持ち出し袋を一度全部出して中身をテーブルに並べてから見ていくと漏れが防ぎやすいです。
期限が数日〜数ヶ月単位の食品や水は、日常生活で早めに消費して新しいものを補充する「ローリングストック」を。無駄なく入れ替えができます。
また、子どもの成長や家族の健康状態によって「今の自分たちに合っているか」も定期的に見直したいポイント。例えば、小学生から中学生になったお子さんには大人サイズの防寒具を追加する、在宅ワークで腰痛が出やすくなった人には湿布やサポーターを足すなど、暮らしに合わせて非常持ち出し袋もアップデートしていくイメージです。
見直しのタイミング
チェック項目が決まっても「いつやるか」を決めていないと、つい先延ばしになりがち。カレンダーとセットで習慣化して、忘れないように心がけましょう。
- 衣替えの時期(春・秋)
- 年末年始の大掃除のタイミング
- 9月1日の「防災の日」や3月11日前後
- 引っ越しや模様替えで収納場所が変わったとき
- 家族が増えた、持病の薬が変わったなど暮らしが変化したとき
このうち、少なくとも年1回はフルチェック、プラスして季節の変わり目に軽い見直しをすると、中身のコンディションが保ちやすくなります。
アウトドア用品を多く入れているご家庭なら、キャンプシーズン前後のメンテナンスと合わせて防災グッズの点検をやってしまうのもおすすめ。「この日だけは非常持ち出し袋の日」と決めておくと予定が立てやすく、家族で動きやすくなります。
チェック後は家族で持ち出し訓練
中身のチェックが終わったら、ぜひ一度「持ち出し訓練」をやってみてください。といっても、難しいことをする必要はありません。家の中から非常持ち出し袋を手に取って、玄関から外の集合場所(家の前、公園の入り口など)まで実際に歩いてみる。これだけで、非常持ち出し袋が「使えるレベルかどうか」が見えてきます。
- 出発から目的地までかかった時間をなんとなく覚えておく
- 誰がどの非常持ち出し袋を持つのか、ざっくり役割を決める
- 階段、段差、暗い場所を通ってみて重さやフィット感を確かめる
- 小さな子どもに、自分用のミニ防災リュックやペット用バッグを持たせてみる
持ち出し訓練をすると「この重さだと走れない」「玄関のこの場所だと取りにくい」などの課題が見つかります。非常持ち出し袋は、中身だけじゃなく「誰が・どこから・どうやって持ち出すか」までセットで準備しておくと、ようやく本当の意味で「使える備え」になりますよ。
今すぐ動ける備えがあなたと家族を守る力に!
非常持ち出し袋は「余裕があるときにゆっくり準備するもの」ではありません。今日のあなたの判断が、もしもの時に家族の安全をぐっと近づけてくれます。一次持ち出し袋と二次持ち出し袋を分けて整理したり、収納場所を見直したり、アウトドア用品を取り入れたりするだけでも、ぐっと使いやすく進化しますよ。
そして、ぜひ活用してほしいのが、防災と相性の良いアウトドア用品。命を守るのはもちろん、避難時の不安やストレスが大きく減らせます。
LEDランタンやレインウェア、エアマットのように、電気・水・ガスが使えない環境でも活躍するアイテムは、実は「キャンプ用品」として普段から使い慣れておけるのが大きな強み。災害時だけじゃなく、普段のレジャーにも使えるからこそ「持ちっぱなしにならない防災グッズ」として自然に暮らしになじみます。
国内最大規模のアウトドアショップ「サンデーマウンテン」では、こうした防災と日常の両方で頼れるアウトドア用品を厳選して取りそろえています。非常持ち出し袋を本気で整えたい方や、家族で使える実用的な防災アイテムを探している方にとって、きっと力になれるはず!あなたの非常持ち出し袋を、今日から一歩ずつ「使える備え」にしていきましょう。


























コメント